
近年になって、一般にも広く知られるようになってきたAED(自動体外式除細動器)。
しかし、実は一般人がAEDを使えるようになったのは、2004年以降です。
厚生労働省により「非医療従事者が救命の現場でAEDを使用することは医師法第17条に反しない」との決定通達が行われてからのことで、まだ10年程しか経っていないのです。
この10年の間に、AEDの設置が広く呼びかけられ、これによって貴重な命が救われたという報告も着実に増えていることから、必要性が高いと判断される場所においてはAEDの設置を義務付けするべきだとの意見も増えてきました。
クラスI(設置必須)
日本心臓財団によると、特に必要性が高いとして設置を推奨する場所として、「クラスI(設置必須)」が、1日の乗降客数が1万人以上の駅、空港、学校、市役所などの大規模な行政施設及び商業施設、学校、プールやゴルフ場などのスポーツ施設、高齢者等介護を必要とする人が多く利用する施設となっております。
クラスII(設置推奨)
「クラスII(設置推奨)」では、1日の乗降客数1万人未満の駅、公民館などの中規模の行政施設及び商業施設、大規模な集合住宅が挙げられています。
やはりAED設置義務ないのか?
クラスIにはマラソン大会や屋外プールなどのイベントや臨時施設、離島や旅客機、旅客船、電車などの救急隊が到着するまでに時間がかかる場所も含められており、今のところ設置を義務とはしていないものの、その重要性から多くの施設や企業がこれらの場所に自主的にAEDを導入するようになりました。
設置台数は全国38万台
実際、2011年度の時点でAEDの設置台数は全国で38万台、そのうち医療機関が約7万台、消防機関が約1万台で、あとの約30万台は一般市民が利用する上記のような設置必須・推奨箇所に設置されているとの報告があります。
横浜市では設置義務化された
市区町村レベルで見てみると、例えば横浜市では2009年より上記のような一定基準に当てはまる施設へのAED設置が義務付けられました。
これは横浜市救急条例第6条及び条例に基づく横浜市安全管理局長告示によるもので、「階数が11以上で面積1万平方m以上、あるいは階数が5以上で面積2万平方m以上の建物」となっており、これにはインターネットカフェや百貨店、ホテル、老人福祉施設、浴場、地下街などが該当します。
2013年には茨城が、全国に広がる
これによって更にAEDによる人命救助に関する報告が増えると考えられ、横浜市を判例として他の自治体もAEDの普及に乗り出すかもしれません。実際、茨城県でも2013年に普及を促す条例が制定されました。